時事ドットコムニュース(2020年4月8日)によると
新潮社は8日、フランスのノーベル文学賞作家アルベール・カミュの代表作「ペスト」(新潮文庫)の発行部数が100万部を突破したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大とともに世界中で関心が高まり、イタリア、フランス、英国などでもベストセラーになっている。
【小説「ペスト」とは】
- 1947年のフランスの小説家カミュが発表。
- アルジェリアの港町で突如ペストが流行。しかし行政の対応の遅れなどから、都市がロックダウン。市民が精神状態をむしばまれながら見えない敵と戦うさまを描いた。
目次
新型コロナでロックダウンに翻弄される我々を、カミュ「ペスト」は予言していた!?

いきなりカミュの「ペスト」を読むのはハードルが高い!と思います。
だけど、
- パンデミック
- 毎日の死者の増加
- 買い占め騒動
- 経済の死
- 医療崩壊
今の新型コロナショックと共通するところが非常に多い作品。だから、今一番共感できる本。
そんな「ペスト」からこんなところが興味深い、注目して読み進めて欲しいポイントを整理してみました!
①9ヶ月もロックダウンされた話。それは今の自分たちの話である特異な状況
パンデミックでロックダウンされるとは、どういうもので、どういう苦しみが待っているのかが、克明に描かれている。
今、日本では緊急事態宣言が出て、「自粛」という状況ですが、海外では都市封鎖、ロックダウンされています。日本も、それくらいの対応が必要なんじゃない?という議論がされるところですが、じゃあ実際ロックダウンされたら、どんな感情になるの?どんな人が現れるの?っていうところがこの小説の一つの興味深いところです。
②登場人物が、あなたやあなたの周りの人や、SNSや転売ヤー、今とめちゃくちゃ通じるところがある
主な登場人物たちの、ロックダウンに対して、ペストに対して、反応の仕方、スタンスが違うんです。
そして、そのどれかに当てはまる人が、今の新型コロナショックにもいるところが奥深いところです。
例えば
- 主人公のリウーはペストに果敢に正義を持って闘う人。それは話題になっている大阪知事みたいな人かもしれないし、震災でボランティアに行くような人かもしれない。
- それに対してランベールという新聞記者は、個人の幸福のために逃げることを選ぶ人。それは緊急事態宣言が出て、コロナが出ていない岩手や鳥取、発生がリスクが少ない軽井沢へ行くような人かもしれません。
- またコタールという密売人は、それこそメルカリでマスクを転売してコロナを利用する人かもしれない。
SNSで政府に文句を言い続ける人、不安で家から出れない人、満員電車が怖い人、それでも生きるために仕事をしないといけない人、この「ペスト」には、今のあなたやあなたが知っている人がいて、その人たちがロックダウンされた都市の中で、どう心が変化していくのか?そこが読みどころっ!
実はこのカミュの「ペスト」、コロナショック以前にも爆売れしたんですが、それが東日本大震災だったそう。どの時代においても大きな災いに対する、人間、社会の対応、反応は共通するものなんでしょうね。
まとめ

カミュの小説「ペスト」は、近年の増刷は平均で年間5000部程度だったそうなのですが、新型コロナの発生や対応、それに苦しむ我々の姿と酷似している!!と話題になり、今年2020年2月以降だけで30年分に当たる15万4000部を増刷したという。
この機会に読んでみてはいかがでしょうか?